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 会社を人事・労務の諸問題から守るためのサポートです。
 労務管理のご相談は、ふくろう人事サポートへ!

 

 労務問題の恐ろしさは、経験した事業主様でしたらお分かりのことと思いますが、会社を揺るがす大問題に発展しかねません。

 瞬く間に会社に大損害を与える大問題に発展し
てしまう可能性があります。
 労働者とのトラブルで
会社の発展が阻害され、
会社経営が傾いてしまうことは、決して珍しくあ
りません。

 

 労務問題を発生させないよう事前の備えが重要です。また、しっかりとした労務管理を行うことで、従業員のやる気を喚起し、生産性の向上に寄与することも珍しくないのです。

 しっかりとした労務管理リスク・マネジメントが企業に求められています。

 

サポート対象の方

○労務問題に対する対策をしっかり行いたい社長様
○労務や年金の事項について専門家にしっかり相談したい社長様
○会社の実態に合ったしっかりした人事制度を構築したい社長様
○社員教育に熱心で会社を発展させたい社長様


「労働保険・社会保険の手続サポート」とセットで顧問契約されると
 お得ですので、ご検討ください。

*ふくろう人事サポートは、 

社会保険労務士個人情報保護事務所認証
 (SRPⅡ認証)を取得している事務所です。個人情報保護は完璧です。
→「個人情報保護に関する基本方針」はこちらからご覧ください

 

全国上下水道コンサルタント協会関東支部主催の講演会「上下水道コンサルタントが直面する労働災害−事故の防止・対応と企業責任−」の講師したところ、日本水道新聞が記事にしてくれましたので、紹介します。

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*平成24年11月6日の講演会が新聞に掲載されました

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【お知らせ

「令和4年民間主要企業夏季一時金妥協状況」(令和4年9月9日)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「人手不足に対する企業の動向調査(帝国データバンク)」(令和4年8月29日)

 →詳細については、こちらからどうぞ

「令和4年地域別最低賃金答申状況」(令和4年8月23日)

 →詳細については、こちらからどうぞ
「エン転職」1万人アンケート(2022.8月)「企業・面接官対応の応募者への影響調査」(令和4年8月19日)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「20代社員の就業意識変化に着目した分析(パーソナル総合研究所)」(令和4年8月18日)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「2022年春季労使交渉・中小企業業種別妥協結果(加重平均)(経団連)」(令和4年8月9日)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「新入社員の意識調査(2022年・マイナビ)」(令和4年8月4日)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「令和4年主要民間企業春季賃上げ要求妥協状況」(令和4年8月5日)

 →詳細については、こちらからどうぞ
「第10回働く人の意識調査(日本生産性本部)」(令和4年7月25日)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「平成3年改正育児・介護休業法に関するQ&A(令和4年7月25日時点)」
 →詳細については、こちらからどうぞ
「企業向けワーケーション導入ガイド−場所にとらわれない働き方の最大活用−(経団連)」
 →詳細については、こちらからどうぞ
「兼業・副業の促進に関するガイドライン(改訂版)」(令和4年7月12日)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「非正規雇用の給与・待遇に関する企業調査(マイナビ)」(令和4年6月27日)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「令和3年高齢者雇用状況等報告」(令和4年6月24日)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「令和3年度過労死等の労災補償状況」(令和4年6月24日)
 →詳細については、こちからどうぞ
「エン転職1万人アンケート(2022・6月)」(令和4年6月20日)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「男女間賃金格差に係る情報開示」(労働政策審議会資料)(令和4年6月17日)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「中小企業のテレワーク実態調査結果(東京商工会議所)」(令和4年6月13日)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「コロナ後の働き方に関する調査(パソナ総研)」(令和4年6月15日)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「新しい資本主義のグランドデザイン及び執行計画(内閣府)」(令和4年5月31日)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「新入社員意識調査・東京商工会議所」(令和4年5月26日)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「テレワーク実施率調査結果・4月・東京都産業労働局」(令和4年5月16日)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「入社前後のトラブルに関する調査(連合)」(令和4年4月28日)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「2023年卒大学生就職意識調査(マイナビ)」(令和4年4月26日)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「公的年金シュミレーターの試験運用開始」(令和4年4月25日)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「ジョブ型採用調査(株式会社学情)」(令和4年4月21日)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「働き方・休み方改革取組事例集」(令和4年3月)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「令和3年度パートタイマーに関する実態調査(東京都産業労働局)」(令和4年3月)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「2021年卒新卒採用者の入社後追跡調査」(令和4年3月23日)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「地方移住に関する実態調査」(令和4年3月22日)
 →詳細については、こちらからとうぞ
「3000人
に聞くSDGs意識調査」(令和4年3月16日)
 →詳細については、こちらからどうぞ

「育児介護休業規程の規定例」(令和4年3月作成)
 →詳細については、こちらからどうぞ

「育児介護休業法のあらまし」(令和4年3月作成)

 →詳細については、こちらからどうぞ
「2021年9月退職金・年金に関する実態調査」(令和4年3月15日)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「令和4年4月から年金制度が改正されます」(令和4年3月)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「中小企業のための「育児復帰支援プラン」策定マニュアル」(令和4年2月)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「70歳雇用事例集」(令和4年2月)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「男女雇用機会均等法育児・介護休業法のあらまし」(令和4年2月) 
 →詳細については、こちらからどうぞ
「第8回働く人ま意識調査(日本生産性本部)」(令和4年1月27日)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「改正育児・介護休業法の研修がダウンロードできるイクメンプロジェクトのサイト」
 →詳細については、こちらからどうぞ
「2021年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果(日本経済団体連合会)」(令和4年1月18日)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「男性育休に関する意識調査」(令和4年1月18日)
 →詳細については、こちらからどうぞ
「マイナビ 企業人材ニーズ調査2021」
 →詳細については、ことらからどうぞ


 

1 人事・労務相談サポートのご案内

 労務トラブルは、ある日突然勃発することがあります。しかも、会社の運命をも左右しかねない大問題となることが珍しくありません。


 お役所に相談しても行政の立場からの回答しかもらえません。
 行政は労働者寄りの立場をとっていると考えてください。

 「ふくろう人事サポート」では、会社の立場に立って会社のお役に立てるよう、ご相談に応じるサポートをご用意しております。

*人事労務問題の例
・残業代の未払で従業員との間でトラブル発生
・解雇された従業員が解雇無効と主張しトラブル発生
・退職時にあいまいな対応をしたため解雇予告手当を請求され
 トラブル発生
・女性従業員がセクハラされたと告発しトラブル発生
・上司によるパワハラのため「うつ病」になったと告発されトラブル
 発生
・名ばかりで管理職としての実体がないと残業代を請求されトラブル
 発生


 ここ数年では、男女雇用機会均等法の改正、労働契約法の改正、労働者派遣法の改正、高年齢者雇用安定法の改正、パートタイム労働法の改正、労働安全衛生法等の改正等、多くの法改正がありました。めまぐるしく行われる法改正への対応は、最低でも対応しなければいけません。
 国では、新たな法改正に向けて検討会をいくつか立ち上げていますので、これからも法改正は頻繁に行われることになります。


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2 人事制度改革サポートのご案内

 「人事を征する者は会社経営を征する」と言われています。人事制度の構築・改築は、会社経営に大きな影響力を持っています。人事や評価の問題で社員がやる気を無くすという会社が少なくありません。
 会社の人事制度を改革し、会社経営を立て直すにはどうすればよいか?会社に適したオリジナルの人事制度の構築、新たな賃金表の作成、退職金制度改革等、会社経営を見据えた制度改革をサポートします。


*人事制度改革の例
 ・従業員の業績を重視した人事制度の構築
 ・退職金倒産を回避するための退職金制度改革



3 年金相談サポートのご案内

 年金に関する相談サポートです。少し前に消えた年金問題がクローズアップされて久しくなりますが、他人事ではありません。自分の年金は大丈夫か?自分史をもう一度振り返り、もらい忘れの年金がないか、チェックしましょう。
 また、障害年金や遺族年金にも、その請求には大きな課題があります。専門家を活用することをお勧めします。
 平成27年10月から被用者年金一元化法も施行され、年金制度は、ますます複雑化しています。



4 従業員教育サポートのご案内

 従業員教育につきましては、教育(講師派遣)サポートをご覧ください。
→「教育(講師派遣)サポート」はこちらからどうぞ 


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○料金表

●個別の事項につきまして、相談・指導・助言の業務を行う場合です。
 下記の料金となります。

区分  報酬額
 通常相談1時間当たり  8,800円
 高度相談1時間当たり  11,000円

●継続的に日常の相談・指導・助言の業務を行う場合です。
 具体の料金につきましては、各会社様の事情等を勘案の上、正式にお見積りをご提出させていただきます。下記料金表は、
目安の金額を提示させていただいております。

 人数 報酬月額 
 9人以下 22,000円 
 10〜49人 33,000円 
 50〜99人 55,000円 
 100〜199人 88,000円 
 200〜299人 110,000円 
 300人以上 別途協議 

○人事制度改革につきましては、事業主様とヒアリングのうえ、見積書を提出させて
 いただきます。


              労務    おまかせ  
お電話ください
   047−366−2962

営業時間:平日9:00〜17:00

メールでのお問合わせはこちらからどうぞ

千葉県の松戸市を中心に、柏市、流山市、我孫子市、野田市はもちろんのこと、東京都、埼玉県、茨城県その他の地域のご要望にお応えする用意のある社会保険労務士事務所です。

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*お世話になっているお客様の主な業種
    コンサルタント業、IT業、食品製造業、倉庫業、卸売業、
    労働者派遣業、小売業、印刷業、出版業、建設業、飲食店経営業、

    電気通信工事業、ビルメンテナンス業、独立行政法人、    公益(一般)財団法人、公益(一般)社団法人、教養教授業、    NPO法人、警備業、文化活動企画業、サービス業、その他業種



                                                                                                          c
○人事・労務管理のミニ知識

1 退職時に年次有給休暇をまとめてとる社員は違法か?
2 一度出した退職願は撤回できるか?
3 普通解雇と懲戒解雇の違いはなに?
4 「管理職」の定義はなに?
5 私傷病休職者を復職させるときの「治癒」はだれが決めるのか?
6 会社の経営悪化による従業員の解雇はできるのか?
7 ライバル会社への転職を制限することはできるか?
8 パワーハラスメントの対応はどうするのか?
9 産業医の役割はなに?
10 企業内秩序遵守義務はどこまで強制できるのか?
11 中途採用者を採用する場合のチェックポイントはなに?
12 内定者の研修費用は辞退したら返済させることはできるか?
13 求人広告を出すときの注意点は?
14 転籍の問題点は?
15 パートタイマーを雇用している場合の注意点は?
16 派遣契約を途中で解除する場合の注意点は?
17 出向者を派遣労働者として派遣できるか?
18 新型インフルエンザの労務管理上の対策は?


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1 退職時に年次有給休暇をまとめてとる社員は違法か?

 退職予定者が、残っている年次有給休暇を退職前にまとめて請求し、残務の処理や引き継ぎに支障をきたすことがあります。この場合ですが、原則として会社は社員が請求するだけの日数を与えなければなりません。
 年次有給休暇は、本来、労働者に賃金を得させながら一定期間労働者を就労から開放することにより、継続的労働力の提供から生ずる精神的肉体的消耗を回復させるとともに、人たるに値する社会文化的生活を営むための金銭的、時間的余裕を保障するものとされています。労働力の維持回復も主要な目的の一つです。
 年休は、一定の要件を満たすことによって当然に発生しますので、この権利を会社が一方的に制約することはできません。
 年休をとる時期が「事業の正常な運営を妨げる」場合には、「時季変更権」が会社にありますが、退職間近で他に休暇を与えることができない社員には、この時季変更権は使えないと考えられます。
 対策としては、話し合いによって引き継ぎの日の最終勤務日を遅らせてもらう等、説得するしかありません。そのためには、就業規則等で、退職する場合には、しっかり業務の引き継ぎを行うよう明確に規定しておく必要があります。引き継ぎ業務が就業規則に明記されていれば、これが労働契約の内容になりますから、引き継ぎをしっかり行う義務が労働者側にあることになります。
 他には、法定以上の年休がある場合には、法定を上回る日数を就業規則などの規定に基づき(あらかじめ定めておく必要がありますが)買い上げる等の方法も可能と思います。


2 一度出した退職願は撤回できるか?

 退職願いには、
 a 退職の申込
 b 社員の一方的な意思表示
の二通りの考え方がありますが、退職の申込と考えるのが大方の考え方です。
 退職の申込と考えると、これに対する会社からの承諾の意思表示があって、退職が成立することになります。
 ということは、会社からの承諾の意思表示が社員に到達するまでは、これを撤回することが可能と考えられます。ただし、これにより会社に不測の損害や困惑など不当に強いるような特段の事情がないことが条件となります。
 会社が承諾の意思表示をした後の撤回は、会社が撤回を承諾しなければ、撤回はできないと考えられます。
 この退職願の問題は、現実問題として考えた場合、決して珍しいケースではありません。どこの会社でも起こりそうな問題です。民法の心裡留保との関係もありますから、慎重に対処する必要があります。このような問題が起こったときには、すぐに専門家に相談することをお勧めします。


3 普通解雇と懲戒解雇の違いはなに?

 普通解雇(広義)は、労働者に責任がなく使用者の一方的な意思表示によって行われる整理解雇と、労働者の債務不履行を理由に将来的な労働契約を解消する普通解雇(狭義)の二つに分類されます。
 懲戒解雇は、重大な企業秩序違反を犯した労働者を罰として解雇することをいいます。
 懲戒解雇は、このように厳しい解雇なので、労働者の同意が必要になります。この場合の同意は、個別同意ではなく、包括的同意で成立していると考えられています。
 包括的同意があったかどうかの判断は、就業規則に懲戒事由と懲戒の程度、懲戒の内容などをきちんと記載して、入社時にその就業規則を提示して同意をとっていれば、同意が成立していると評価されます。使用者は、この包括的同意をもとに、懲戒に値する行為が発生したときに懲戒権を行使することになります。
 ですから、懲戒解雇に該当する行為は、就業規則の中に限定列挙されたものに限られます。会社側で勝手に懲戒解雇を決めることはできません。懲戒解雇は、非常にシビアな規定と考えられますので、注意が必要です。


4 「管理職」の定義はなに?

 多くの企業では、一般社員の他に管理職者としての社員がいます。部長とか課長といった役職がつけられ、一般社員とは異なるのが普通です。この管理職者と一般社員との具体的な差異は、管理職者には、役職手当が支給され、時間外勤務手当が支給されない、出退勤の時間が比較的裁量にまかされている、といったところでしょうか。
 こうした扱いの根拠は、労働基準法第41条にありますが、「管理監督者」と認められる条件には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
a 職務の内容が、ある部門全体の統括的な立場にあること
b 出退勤などの労働時間について、厳格な制限がなく自由裁量であること
c 部下に関する人事考課権限を有していること
d 部下に関する労務管理上の決定権について一定の裁量を有していること
e 基本給、役職給、賞与等において、地位にふさわしい待遇がなされていること
 以上の条件を満たす必要があります。
 つまり、肩書ではなく、実態で判断されるべきものなのです。
 裁判でも管理職の時間外手当を巡る判決が出される等、大きな注目を集めている問題ですが、裁判判決を受けて最近、行政からの指導も出されていますので、注意しておく必要があります。

 
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/09/h0909-2.html  

5  私傷病休職者を復職させるときの「治癒」はだれが決めるのか?

 社員が私傷病で長期間にわたって業務の執行ができない場合のために、「休職」の規定を就業規則で定めている会社があります。
 会社には、社員に対する安全配慮義務がありますから、病気やケガの治っていない社員を復職させて、それが元で事故が起こると「安全配慮義務違反」を問われることになります。そのため、休職している社員の復職には注意する必要があります。
 復職させるためには、病気やケガが「治癒」していることが条件になると思いますが、「治癒」したかしないかの判断は、最終的には「会社」がしなければなりません。
 会社が休職を認めたわけですから、休職理由が消滅したかどうかも会社が判断するのが当然です。
 治癒したかどうかの判断にあたっては、「診断書」が重要な意味をもってきます。医学的な問題については、医師の判断が重要であり、医師の診断書なくして会社が判断することはしてはいけません。
 しかし、診断書に「現場復帰可能」とか「出社可能」と記載されていても、それが通常の業務を行える健康状態まで回復した(治癒した)ということを意味しないことがあります。
 医師は、治療のプロではありますが、労務のプロではありません。医師が会社復帰の意味を単に会社に通勤できる状態や軽作業ならできる状態と誤解している場合があったり、患者から懇願されたり患者救済の意味で「職場復帰可能」と記載することもあるからです。
 診断書は、重要な判断資料ですが、治癒したかどうかを判断する絶対的な基準ではありません。
 診断書を提出してもらったうえで、本人と面談し、本当に治癒しているのか、業務を支障なく遂行できるかどうかを確認する必要があります。
 必要な場合には、本人の了解のもと、医師と面談する必要もでてくる場合があります。
 休職期間満了時のトラブルを避けるためには、「業務上の必要があると会社が判断した場合には、会社が指定する医師に検診を命じる場合がある」という規定を就業規則に設けておく必要もあると考えられます。


6 会社の経営悪化による従業員の解雇はできるのか?

 会社の経営の悪化が理由の場合の解雇は、労働者には何の落ち度もないのに、経営者の一方的な都合による解雇ということになります。これを「整理解雇」といい、会社側に厳しい条件が課されるのが普通です。
 一般に、「整理解雇の4要件」といわれるものがあります。
 a 人員整理の必要性があること
 b 解雇回避の努力をしたこと
 c 整理解雇対象者の人選に合理性があること
 d 手続が妥当であること
 この4つの要件をクリアすることが使用者側に求められます。
 人員整理の必要性については、人員削減をしなければ経営を維持できないという相当程度の経営上の必要性が認められなければなりません。
 解雇回避の努力については、人員整理は最終手段であることが求められます。役員報酬の削減、新規採用の抑制、希望退職者の募集、配置転換、出向等により、解雇回避のための相当な経営努力がなされ、それでもなお事態が改善されないため、最後に人員整理という客観的にやむを得ないと判断される必要があります。
 整理解雇者選定の合理性については、人選基準が合理的で、具体的人選も合理的かつ公平でなければならないということです。
 整理手続の妥当性については、事前の説明、協議、納得を得るための手順を踏まなければいけないというものです。手続の妥当性は非常に重視され、しっかりとした手順を踏まないと、他の要件を満たしても無効とされるケースもあります。


7 ライバル会社への転職を制限することはできるか?

 自社を退職後、ライバル会社に自社のノウハウを持って転職されることは、会社にとって大問題です。会社は大変な不利益を受け、許すことのできない行為です。一方、憲法では「職業選択の自由」が保障されています。
 裁判所の判断でも競業避止については、「競業避止の内容が必要最小限の範囲であり、また当該競業避止義務を従業員に負担させるに足りうる事情が存するなど合理的なものでなければならない」とされています。
 一般的な基準は以下により合理性を判断することになります。
 a 根拠とする就業規則上の規定が必要
 b 労働者の地位の高さ、職務内容
 c 前使用者の正当な利益を目的とすること
 d 競業制限の対象
 e 競業制限の期間、地域
 f 相当の代償が払われていること
 就業規則上の規定は、あらかじめの合意が存在するという意味から必要になります。
 地位の高さや職務内容は、営業秘密に直接関わるなどの、競業避止を課すに相当なものであることが必要ということです。
 前使用者の正当な利益とは、当該労働者のみが有する特殊固有な知識や技術などの秘密の保護で、正当な目的を有する必要があるということです。
 競業制限の対象は、原則として同一職種への就労禁止しか認められません。
 競業制限の期間、地域については、被用者の職業選択の自由を不当に制約する場合は認められません。
 相当の代償とは、被用者と使用者の各々の法益の保護においてバランスが取れているものと判断されるものであることが必要ということです。


8 パワーハラスメントの対応はどうするのか?

 「セクシャルハラスメント」については、男女雇用機会均等法により法体系は確立し、社会的に十分な認識を持たれつつありますが、「パワーハラスメント」については、セクハラ以上に難しい問題があるようです。
 パワハラは業務遂行に直結していることが多く、善悪の判断が難しいことが問題解決の大きな障害になっていると考えられます。
 実際にパワハラが起こっているかどうかの判断さえ難しい場合が多いのが現状なのではないでしょうか。
 上司は、自分の言動が「部下への叱咤激励」と考えることが一般的だと思います。しかし、部下が「不当な行為を受けた」と感じた時点でパワハラが起こった可能性があるのです。
 つまり、最初から根本的な主張の食い違いがあるわけです。会社、上司、部下が、パワハラの概念について共通の認識を持つことが、まず重要となります。就業規則にパワハラについて明示する必要があります。
 実際に問題が起こった場合には、まず、上司に対して早急に問題行為を、とにかく停止するよう注意することが肝要です。
 次に、事実関係を確認する必要があります。客観的な認識の差を明確化して原因を探る必要があるのです。必ずしも上司に非があるばかりではありません。部下の職務遂行能力が欠如している場合も十分考えられますし、パワハラを行ったとされる上司の方が、深刻なストレスを抱えていたりします。単純に善悪を判断し難いことが多いのが、パワハラの特徴といえます。
 なお、事業所内での問題解決には、相談者に不利益が生じないよう配慮する必要もあります。
 各企業の人事担当の方にとっては、パワハラ問題は頭の痛い事項の一つだと思いますが、まず、研修等で問題を認識してもらい、起こった場合には、すぐに問題行為を停止させて解決に当たる、とにかく早い対応が肝要と考えられます。
 なお、行政への相談窓口としては、労働局の企画室が相談にのってくれます。
 また、平成29年1月から「マタニティ・ハラスメント」について事業主の義務も求められるようになりましたので、ハラスメント対策は、重要な課題になっています。


9 産業医の役割はなに?

 産業医とは、労働者が健康で快適な作業環境のもとで業務行えるよう、専門的な立場から指導や助言を行う医師のことをいいます。選任する事業所や産業医の数については、労働安全衛生法で定められています。
 産業医の役割には、以下の4つがあります。
 a 健康管理
 b 作業環境管理
 c 作業管理
 d 労働衛生教育
 健康管理とは、定期健康診断の結果に基づいて治療や配置転換、生活指導などを行うことと、健康相談に応じ専門医療機関を紹介したり、主治医と連絡をとって職場復帰に向けての支援を行うことです。
 作業環境管理とは、有害な作業環境を取り除き、より快適な作業環境を目指すことで、作業場の明るさや換気、騒音、気温、スペースなどを改善していくことです。
 作業管理とは、職業病や労働災害の発生を予防するために、作業の仕方を管理することです。
 労働衛生教育とは、傾向や衛星に関する教育や啓蒙活動を行うことです。
 産業医は、定期的に職場巡視を行う必要があり、作業環境や作業方法に問題がある場合には、適正な措置を具申するとともに、衛生院会や安全委員会の構成委員となる場合には、意見を述べることになります。
 特に、近年ではメンタルヘルスなどが重要になり、産業医の社会的使命は年々高くなっているといえます。


10 企業内秩序遵守義務はどこまで強制できるのか?

 労働者の髪の色等個人の人格や自由に関する事項について、企業秩序維持を名目にして、どのような範囲で労働者の自由を制限できるかという問題は、その判断が難しいところです。
 この問題については、個別的内容で判断するしかありません。一般的には、企業の円滑な運営上必要かつ合理的な範囲にとどまるものと考えられます。
 a 制限の必要性の問題
 b 制限の合理性の問題
 c 手段方法としての相当性の問題
を考える必要があり、特段の配慮が要請されることと考えてください。


11 中途採用者を採用する場合のチェックポイントはなに?

 終身雇用制が壊れつつある今日、企業にとって経験を積んだ中途採用者を採用することが多くなっていることと思います。新卒者と違い、社会人経験があり即戦力となり得る反面、採用する人間の技能がどの程度のものか?リスクを負う可能性もあります。
 中途採用者を雇用する場合に注意する点は下記のとおりです。
 まず、経歴書を提出させます。経歴書には退職理由が書かれているはずですから、採用する側としては、退職理由を確認する必要があります。その上で、解雇されたことはないか、会社とのトラブルを起こした事実がないかをきちんと申告させます。
 虚偽の申告をさせないためには、身元保証人をつける等の措置をとるという対応も必要になります。
 今後、中途採用者は専門能力者が増えてくることが予想されることから、労働契約書で債務の内容を明らかにして会社が求める専門能力や適性を契約内容にしておく必要もあると思います。
 そして、一番重要なことは、就業規則の整備です。


12 内定者の研修費用は辞退したら返済させることはできるか?

 内定者に対して入社前に研修会を開いている会社は多いと思います。一方、学生はいくつかの会社を受けていますから、会社から内定をもらっても、他の会社から内定をもらえばそちらに入社するとことは当然あり得ます。では、内定者に対して研修会を行い、その内定者が入社を辞退した場合に研修費用を返済させることはできるのでしょう?
 まず、「内定者」の身分ですが、解約権留保付始期付労働契約が成立していると解されていますので、厳密には労働者にはなりませんが、身分としては、試用期間中の労働者と同等と考えて差し支えないと思います。
 一般には、業務命令で研修を受ける場合には、費用は会社負担となります。内定者向け研修は、入社後に業務で必要となる能力を身に着けさせようというものでしょうから、業務性が強い場合がほとんどと考えられます。仮に研修参加は義務でないと言われても受けないことにより入社後不利になる可能性があれば実質的には業務命令と考えられます。入社辞退の場合に返済するとの誓約書があっても、その誓約書は無効になる可能性が高いと考えられます。
 一方、会社が希望者を対象に資格試験などの費用を立て替えることもありますが、一定期間勤務した場合のみ返済を免除するという契約で事前に合意されていれば貸付金に当たり、内定辞退の場合には費用返還を求められることもありそうです。


13 求人広告を出すときの注意点は?

 会社経営をしていると、採用するときは、なるべくバリバリの即戦力を採用したいと思います。しかし、求人広告を出すときに年齢制限をすることは原則禁止されています。
 これは、平成19年10月施行の改正雇用対策法で規定されています。背景には、年長フリーターや高齢者の再就職を促そうという狙いがあります。従来の「年齢制限の緩和や撤廃への努力」から「年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」に改定されました。
 この規定に違反すると、厚生労働大臣が是正の助言、指導、勧告を行うこととなります。
 今回の改正で募集、採用時の年齢差別は禁止されましたが、欧米では昇進、昇給、賃金、教育、解雇などあらゆる雇用管理における年齢差別が禁止されています。日本でも年齢差別の禁止が全ての雇用管理の場面に拡大されるのは、時間の問題のようです。
 また、男女雇用機会均等法から、男女を区別しての募集は例外を除いて許されませんので、この点にも注意が必要です。


14 転籍の問題点は?

 「転籍」とは、従来の雇用契約を終えて新たな契約を転籍先と締結することです。原則として、会社分割を除き、労働者本人の個別同意が必要になります。つまり、会社としては、転籍の人事権はなく、「お願い」しかできないことになります。就業規則に「グループ会社に転籍を命ずることがある」と明記されていても、個別の同意が必要になります。転籍の場合、整理解雇の中の施策として行う場合もあり、整理解雇の要件が必要となる場合もあります。
 転籍先企業と密接な関係があるような特殊な場合には、入社時に転籍について包括的同意があり、転籍命令を有効とした判決もありますが、稀な例といえます。


15 パートタイマーを雇用している場合の注意点は?

 パートタイマム労働法が平成20年4月に施行され、パートタイマーの労働条件等が改善されましたが、その注意点についてまとめると以下のようになります。
a 労働条件の文書交付・説明義務ができたこと
  ・労働条件を明示した文書の交付の義務化
  ・待遇を決定するに当たって考慮した事項の説明
b 均等のとれた待遇確保の促進
  ・「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」に対する差別的取扱い
   の禁止
  ・すべての短時間労働者に対し、通常の労働者と均等のとれた待遇の
   確保措置の義務
c 通常の労働者への転換の推進
  ・通常の労働者への転換を推進するための措置を義務化
d 苦情処理・紛争解決援助
  ・苦情を自主的に解決するよう努力義務化
  ・紛争解決援助の仕組みの整備
 以上が注意すべき点です。この中で罰則があるのは「労働条件の通知(文書)の違反」だけですが、10万円以下の過料となります。
 なお、「通常の労働者への転換の推進」の措置が義務化されましたが、具体的に講ずる措置の例としては、
 ・通常の労働者の募集の際は、その募集内容を既に雇っている
  パート労働者に周知する
 ・社内公募として、パート労働者に対して通常の労働者のポストへの
  応募機会を与える
 ・パート労働者が正社員へ転換するための試験制度を設ける等転換
  制度を導入する
等の措置が考えられます。
 パートタイム労働法の違反には、強い行政指導がありますから、事業主は法律を順守する必要があります。


16 派遣契約を途中で解除する場合の注意点は?


 派遣労働者が企業にとって、事実上の雇用調整弁になっているという現実は否定できませんが、派遣契約といえども、簡単に解除できるものではありません。いくつかの制限があります。

 期間満了にともなう契約解除については、問題はありませんが、派遣社員の国籍、信条、性別、社会的身分、生当な労働組合活動を行ったことの有無などを理由として派遣先企業か派遣契約を解除することは禁止されています。

 これ以外の理由、例えば派遣先企業の都合によって契約期間満了前に派遣契約を解除する場合には、派遣先企業は派遣元企業の合意を得るとともに、相当の猶予期間をおいてあらかじめ派遣元企業に解除の申し入れを行う必要があります。そして、関連会社などで派遣社員が働けるよう手配するなど、派遣社員が新たに働ける機会を提供できるようよう努力しなければなりません。

 派遣社員の新たな就業機会を確保できない場合には、契約の解除を行う予定日の30日以上前に解除の予告を行わなければいけません。予告を行わずに解除する場合には、派遣先企業は派遣元企業に対して、派遣社員が実際に30日働いた場合の賃金に相当する金額の損害賠償を支払うことになります。この30日という期間は、最低限必要とされる期間です。

 なお、解除を行って、その理由を派遣元企業から問われた場合には、派遣先企業はその理由を明らかにしなければなりません。

 このように、派遣労働者の権利もある程度は守られているのですが、正社員と呼ばれる労働者に比べると、確かにその権利の保護の面では大きな課題があります。


17 出向者を派遣労働者として派遣できるか?

 労働者の二重派遣や労働者供給事業が法律で禁止されていることは明確ですが、出向者を派遣労働者とすることにつきましては、少し微妙です。
 A社の社員aをB社に出向させ、B社からC社に派遣する方法ですが、以前、大手派遣会社がこの方法を行っていました。この方法、実は厚生労働省から行政指導を受け、止められたのです。法律上の解釈は微妙なものがあるのですが、二重派遣の疑いが強いとの行政の判断だったようです。派遣労働法においては、派遣労働関係において使用者の責任が曖昧になるということで、雇用主としての派遣元と実際に労働者を指揮する派遣先の二者しか認めていません。また、職業安定法では、労働者供給事業を禁止しています。しかし、中間搾取に当たらない場合については、明確な法律違反とは断定できず、行政指導で対応したようなのです。
 出向元のA社と出向先のB社が、業務面で高度に密接な関連性がある場合、例えば、連結決算子会社のようなケースでは、出向という形態をとっていても、社員aの出向が実質的に社内人事異動と同等のような場合には、社員aを派遣労働者としてC社に派遣することも可能と考えられますが、通常の場合は、行政指導に従う必要があります。


18 新型インフルエンザの労務管理上の対策は?

 
企業における新型インフルエンザ問題は、社員が出勤できなかったり、顧客を感染させてしまったりということが考えられます。
 
企業における危機管理は、主としてこういうことに対応できるようルール化を行うことにあります。新型インフルエンザ対策では、社員の配置調整や勤怠のあり方などソフト面の対策が必要になります。
体制面の対応
 
新型インフルエンザは、咳やくしゃみなど飛沫感染によって瞬く間に感染が拡大することから、社長等の決定権者が出張等で不在の場合に備え、現場を掌握し会社全体を見渡すことのできる人材を責任者とする体制を構築する必要があります。
社員の対応
①社員が感染した場合
 
本人の意思にかかわりなく欠勤させることです。二次感染の防止という意味もありますが、労働安全衛生規則第61条に「事業者は、病毒伝ぱのおそれある伝染病の疾病にかかった者については、その就業を禁止しなければならない」と
定められています。つまり、感染時には就業を禁止させる必要があるわけです。
社員の感染が疑わしい場合
 
社員が体調不調を訴える等、新型インフルエンザに感染した疑いがある場合には、会社の判断によらず、最寄りの保険所に連絡をして保険所の指示により対応することになります。
感染が拡大して社員が感染する可能性が高い場合
 
一部の社員が新型インフルエンザに感染したため同じ職場の他の社員が感染している可能性が高い場合や、社員が罹患していないものの地域において大流行している場合には、一斉に自宅待機を命じることも考えなければなりません。
(注)①及び②場合は、ノーワークノーペイの原則から、労働基準法上の給料の支払い義務は生じません。一方、③の場合は、感染という事実がなく、事業主の自主的な判断で就業させないため、平均賃金の6割以上の休業手当の支払が必
要になるという違いがありますので、注意が必要です。 もっとも、保健所からの依頼により職員を休ませる場合には、休業手当の支払は必要ありません。
社員の家族が感染した場合
 
家族が新型インフルエンザに感染した場合には、当該社員は高い確率で感染することが考えられることから、徹底した手洗いやうがい、寝室を別にするなど家庭内での対策を講じてもらう必要があります。
さらに踏み込んだ対応
 
上記の他、現実的にはさらに踏み込んだ対策が必要となります。
マスク、体温計などの備品の用意はできているか?
社員を在宅勤務にした場合のルールの整備はできているか?
 
特に会社所有のパソコンを自宅に持ち帰る場合等のセキュリティー対策はどうするのか?その場合の労働時間の管理方法はどうするのか?等のルールを決めておく必要があります。
新型インフルエンザが発生してから混乱することのないよう、会社としてどのタイミングでどういった対策を講じていくかを、あらかじめ設定しておく必要もあります。
 

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○年金関係のミニ知識

1 国民年金の「第3号」はどんな人か?
2 「離婚分割」はどういう制度か?
3 保険料の免除制度とはなに?
4 外国の年金制度との通算はできるのか?
5 在職老齢年金で注意することは?
6 高齢者の給与を変更する場合の注意点は?
7 振替加算とはどういう制度か?
8 合算対象期間とはどんな期間か?
9 在職老齢年金の計算方法は?
10 配偶者の遺族年金の額はどうなるのか?


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1 国民年金の「第3号」はどんな人か?

 第3号とは、被保険者種別の「第3号被保険者」を指します。
 具体的には、サラリーマンである夫の健康保険の被扶養者となっている20歳以上60歳未満の妻を「第3号被保険者」といい、保険料を納めなくても「老齢基礎年金」を受給できます。これを指して、「サラリーマンの妻はいいなあ」という人もいます。
 なお、後期高齢者については、第3号被保険者にはなれません。


2 「離婚分割」はどういう制度か?

 一般に離婚分割と言われているのは、「離婚時の厚生年金の分割制度」のことをいいます。
 「合意分割」と「3号分割」の二つの分割制度があります。
 合意分割は、平成19年4月から導入されました。離婚時に、婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録を当事者間で分割する制度です。分割には一定の限度があります。分割できるのは平成19年4月1日以降に成立した離婚ですが、施行日以前の婚姻期間に係る厚生年金の記録も分割の対象となります。離婚当事者は、協議により案分割合に同意の上で、社会保険事務所に離婚分割申請書と公正証書を提出し、厚生年金の分割を行います。
 3号分割は、平成20年4月から導入されました。こちらは、両者の合意なしでも分割可能になります。ただし、分割対象となる期間は、婚姻期間が平成20年4月以降の期間です。


3 保険料の免除制度とはなに?

 国民年金には、保険料の免除という制度があります。
 「法定免除」と「申請免除」があります。
 法定免除は、障害基礎年金や生活保護法の「生活扶助」を受けた場合等一定の要件を満たした場合に、届け出をすることで免除になる法律に基づく保険料免除期間で、全額が免除されます。
 申請免除は、経済的な理由で国民年金の納付が困難な場合に、申請により免除されます。免除は、4分の3免除、半額免除、4分の1免除の3種類で、その人の所得で決まります。
 免除期間は、保険料滞納期間ではなく、受給資格を見るときの年数計算に加えられますし、納付期間よりは小額になりますが、年金額にも反映されます。また、10年前の保険料免除期間まで追納できますので、追納すれば納付期間になります。
 加入年数が足りなくて年金をもらってない人でも、昔、生活保護を受けていた場合には、法定免除の届け出をすれば、その期間が免除期間になり、受給資格を見るときの加入年数に加えることができる場合があります。


4 外国の年金制度との通算はできるのか?

 日本は、社会保障(年金・医療)に関する協定をいくつかの国との間で締結しています。年金に関して二重加入防止している国については、発効している国は、ドイツ以下14国あり、署名済みの国は、イタリアです。
 交渉中の国は、ハンガリー以下5か国で、予備交渉中の国は オーストラリア以下5か国です。詳細については、厚生労働省のHPや最寄りの社会保険事務所で教えてもらえます。


5 在職老齢年金で注意することは?

 老齢厚生年金を受給しながら働く人は、厚生年金の受給額が調整されます。かつては60歳以上65歳未満の人と65歳以上の人とでは、調整のやり方が異なっていましたが、今は同じ計算方法になりました。
 計算をする場合に必要な数字は、「基本月額」と「総報酬月額相当額」です。
 基本月額は、老齢厚生年金額(年額)の12分の1の金額となります。
 基本月額で注意しなければてけないのは、60歳以上65歳未満の人の場合は支給される年金が「特別支給の老齢厚生年金」というものなので、加給年金額を除く支給される年金額で基本月額が計算されます。一方、65歳以上の人は、老齢基礎年金と老齢厚生年金が支給される年金ですから、基本月額を計算する場合に老齢基礎年金は含まれません。加給年金額と経過的加算額を除く老齢厚生年金で基本月額が計算されます。
 総報酬月額相当額は、標準報酬月額と以前1年間の標準賞与額の12分の1との合計額となります。
 60歳以上65歳未満の人も65歳以上の人も、47万円が基準額となり、基本月額と総報酬月額相当額とを合算した額がこの基準額をこえると調整されることになります。なお、前述のように老齢基礎年金は調整されることはありませんので、注意が必要です。


6 高齢者の給与を変更する場合の注意点は?

 年金を受給できる高齢者の給与を変更する場合には、在職老齢年金との関係で、注意する必要があります。
 定年退職の場合は、就業規則等で定年が決まっているならば、喪失後、翌日取得が可能ですので、すぐに新しい標準報酬月額で計算された在職老齢年金が支給されます。
 かつては、定年以外の場合は月額変更(月変)の対象となりますから、新しい標準報酬月額で在職老齢年金が支給されるのは、月変後になり、定年以外の理由の場合は給料は下がっても標準報酬月額の変更は3か月後になっていました。、その間、前の給料で在職老齢年金が計算されることになっていたのですが、これは不公平ということで、制度が改正されました。今は定年以外の場合でも、同時に得喪の手続きが可能です。ただし、新しい雇用契約書の写しを添付資料として提出しなければいけません。


7 振替加算とはどういう制度か?

 一例としてあげると、振替加算とは次のような制度です。
 夫の厚生年金に妻の加給年金があって、妻が65歳になりますと加給年金はなくなります。それに代わって、妻の老齢基礎年金に加給年金が形を変えて加算されます。これを振替加算といいます。
 振替加算の額は、加給年金と同額ではなく、妻の年齢が若いほど振替加算の額は低くなります。
 振替加算は、妻自身の老齢基礎年金となりますから、夫が死亡し遺族年金を受給するようになっても、また離婚をしても振替加算はなくなりません。
 ただし、振替時において、夫婦ともに新法の適用であることと夫婦ともども元気であることが条件になります。


8 合算対象期間とはどんな期間か?

 老齢基礎年金などの受給資格期間を見る場合に、資格があるか否かを判断する期間には入れるが、年金額の計算には入れない期間のことです。年金額に反映されないことから一般に「カラ期間」と呼ばれています。具体的な期間としては、
a 昭和61年3月以前の期間で、国民年金に任意加入できる人が任意加入しなかった期間
b 平成3年3月以前の期間で、学生であるため国民年金に任意加入しなかった期間
c 昭和36年4月以降の期間で、海外に住んでいた期間
等があります。
 合算対象期間は年金額にこそ反映されませんが、受給資格期間には入りますから、資格期間を満たしているかどうかがギリギリの方は、注意してみる必要があります。
 なお、bの学生に該当するのは、学校教育法で定められた高等学校・大学・高等専門学校ですので、例えば調理師の専門学校、自動車学校の教習生などは該当しません。

 

9 在職老齢年金の計算方法は?

 必要なデータは、「基本月額」と「総報酬月額相当額」です。
 ○基本月額
  =老齢厚生年金の年金額(加給年金額及び経過的加算を除く)/12
 ○総報酬月額相当額
  =(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額/12)

 支給停止額の計算は次の表のとおりとなります。

総報酬月額相当額と基本月額の合計額
支給停止額の計算方法 
47万円以下
 支給停止額なし
47万円超
 {(総報酬月額相当額+基本月額)−47万円}×1/2

10 配偶者の遺族年金の額はどうなるのか?

 平均寿命が女性の方が男性よりも長く、年配の方の場合、男性の方が年上のケースが多いこともあるのでしょうが、夫がなくなった後の妻の受け取れる年金の計算について心配されている方が多いようです。
 配偶者が受け取ることのできる年金の額の計算については、次のイ〜ハの3通りの計算の中から一番金額の高い額が支給されます。
 夫の老齢基礎年金をA、夫の老齢厚生年金をB
 妻の老齢基礎年金をC、妻の老齢厚生年金をD  とした場合

 イ 妻の老齢基礎年金と夫の遺族厚生年金
    夫の遺族厚生年金は老齢厚生年金の3/4の額になります。
    C + ( B × 3/4 )
 ロ 妻の老齢基礎年金と妻の老齢老齢年金
    C + D
 ハ 妻の老齢基礎年金と妻の老齢老齢年金の1/2と夫の遺族厚生年金
    の2/3
    C + ( D × 1/2 ) + ( B × 3/4 × 2/3 )

 

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労働新聞に掲載されました(平成22年3月1日)

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