会社が発展するためには、就業規則の整備はもちろんですが、就業規則以外の諸規程につきましても、しっかりと整備し、社員に周知、教育することが不可欠です。内部統制とコンプライアンスを図ることが、会社発展の大きなカギとなるのです。

現在の企業を取り巻く情勢は、以下のように
予断を許さないものになっていることを、経営者
の方は認識する必要があります。
特に平成28年1月から個人番号(マイナンバー)
制度が始まりました。社内各規程の整備は元より、
社員教育も大きな課題になります。
1 企業の不祥事の顕在化
昭和の終わり頃は順風満帆だった日本企業は、
平成に続く令和に入ってからも不況が続き、それと時を同じくするように不祥事が目立つようになりました。
これらのほとんどは内部通報によるものです。
終身雇用制度が崩れつつある中、滅私奉公的な愛社精神は消えつつあります。それに比例するように、客観的で冷静な視点で自社を評価するようになってきています。コンプライアンスに関する目が厳しくなっているのです。
2 行政の対応の変化
かつては、行政による事前規制が強く、国による規制、制約、指導が数多くありました。これが平成に入ってから、行政の姿勢が「事前規制」から「事後規制」に変わり、企業の自己責任が強く問われるようになりました。
各企業が自由に物事を進めてよい代わりに、その進め方や結果に法令違反があれば、企業が支払う代償は、事前規制のときに比べ大きなものになっています。
3 法改正
製造物責任法、株主代表訴訟制度、労働審判法、労働契約法など、法律が企業の自己責任の強化や透明性を求めるようになってきました。
特に労働法規に関する法改正は、平成16年頃から矢継ぎ早に行われています。コンプライアンスの面からも、会社の働き方のルールに対する目は厳しくなっているのです。平成28年1月から個人番号(マイナンバー)制度も始まりました。マイナンバーが入る特定個人情報の保護(セキュリティ)違反については、最高で4年の懲役刑に処されることもあります。企業にとっては、本当に大きな問題なのです。就業規則を特定個人情報保護に手対応したものに改正するとともに、しっかりとしたマイナンバー取扱規程類を整備しなければなりません。
4 ICTの進展
情報通信技術の発展により、新しい企業倫理の問題が生じています。特にソーシャルメディア対応は、企業にとって大きな課題になります。企業のマネジメントについても従来と異なった手法が求められています。常に新しい発想でルールを見直し続ける必要があるのです。
以上、簡単にまとめてみましたが、どれも企業にとっては予断を許さないものばかりです。
このような情勢の中、企業による内部統制システムの構築が強く求められています。会社法、金融商品取引法などは、組織業務の適正の確保を求めていますし、企業の内部統制は企業の生死をも左右するものになっているのです。
まず、企業が自らを守る社内規程の整備が大きな課題です。就業規則や給与規程は元より、
①文書管理規程
②営業秘密管理規程
③パソコン取扱規程
④出張旅費規程
などは必要不可欠な規程になっています。また、場合によっては
⑤借上宿舎管理規程
なども必要になります。
平成28年1月から始まった個人番号(マイナンバー)対応としては、「特定個人情報保護規程」、「基本方針」、「取扱規程の作成・整備」は必須になります。
企業が、自己責任において事業を推進するためには、組織としてしっかりと決めごとを規程という文書にして整理する必要があります。
次に、社員に周知し、規程を守ること(コンプライアンス)を徹底することが必要です。当然、社員教育も必要になります。これらができて、初めて安全な事業推進が可能となるのです。
社員教育は、階層ごとでも結構ですので、継続的に行う必要があります。
会社を発展させたいと思っている社長様には、社内規程の整備と社員教育の徹底をお勧めします。ふくろう人事サポートを活用して、御社の更なる発展を目指してください。
→お問い合わせはこちら
【トピックス!】
「働き方改革関連法」への対応−平成31年4月から−
1 働き方改革関連法(平成30年7月6日公布)の施行スケジュール
まず、働き方改革関連法の施行スケジュールについて押さえたいと思います。下記が、施行スケジュールを簡単にまとめたものです。
西暦 | 19/4 | 20/4 | 21/4 | 22/4 | 23/4 | 24/4 | |
労働時間上限規制 | 大企業 | ○ | → | → | → | → | → |
中小 | | ○ | → | → | → | → | |
年次有給休暇5日取得義務 | 共通 | ○ | → | → | → | → | → |
高プロ・フレックスタイム | 共通 | ○ | → | → | → | → | → |
医師面接見直・時間把握 | 共通 | ○ | → | → | → | → | → |
月60時間超割増率引き上 | 中小 | | | | | ○ | → |
限度基準適用除外見直し | 中小 | ○ | |||||
勤務間インターバル(努力義務) | | ○ | → | → | → | → | → |
同一労働同一賃金 | 大企業 | ○ | → | → | → | → | |
中小 | | | ○ | → | → | → | |
その他 | 共通 | ○ | → | → | → | → | → |
(別法案)賃金債権時効延長 | 共通 | | △ | → | → | → | → |
2 中小企業への影響
上記のように、働き方改革関連法と一口に言っても、その施行時期がそれぞれの項目によって違い、かつ大企業と中小企業によっても違ってきます。中小企業の場合、一番急いで対応しなければならないのは、「年次有給休暇5日取得義務」になることがお分かりいただけると思います。
3 「年次有給休暇5日取得義務」への対応
法改正では、年次有給休暇の日数が10日以上の労働者に対して、年次有給休暇のうち5日については、付与日から1年以内の期間に、以下のいずれかの方法により与えなければならないとしています。
①労働者本人の時季指定による取得
②労使協定締結による計画的付与
③労働者本人の希望を聞いたうえでの使用者による時季指定
つまり、労働者本人が5日以上の年次有給休暇を消化してしまえば、何の問題もないわけです。課題としては、個人ごとの年次有給休暇の取得状況を管理することと、5日に達していない労働者に対する対応になります(時間的余裕をもって対応しないと年次有給休暇が消化できなくなってしまう可能性が出てきます。)。なお、個人別管理簿の作成は必須になります。
入社日が個々に異なる労働者に法律通りに入社半年で年次有給休暇を付与している会社の場合、個人単位で異なる期間における年次有給休暇を把握しなければならず、非常に煩雑になります。これを機に、斉一的取扱い(付与の基準日を設定)を採用する企業が増えることが予想されます(就業規則の変更が必要)。
その他、法律よりも前倒しで年次有給休暇を付与している企業の場合、期間が重複するダフルトラックが発生することがあります。例えば、2019.10.1に入社した者に10日の年次有給休暇を付与し、2020.4.1に11日を付与するような場合です。このようなケースでは、10日付与してから1年経たないうちに新たな年次有給休暇が付与されてしまうため、期間の重複が起こることになります。この場合の計算は、次のようになります。
2019年10月1日〜2021年3月31日の期間:18ヶ月/12ヶ月×5日=7.5日
また、今回の改正での実務的な面での最大の課題は、③の使用者による時季指定ですが、例えば、期間の半年たったところで、年次有給休暇を5日消化していない者について、個別に年次有給休暇が可能かどうかを確認し、難しい場合は使用者側から時季指定する方法で5日取るようにする等の方策が必要になります。
4 労働時間上限規制
現在の三六協定は、事実上、上限が無く、それが過重労働の原因となっているという批判から、今回は以下の改正が実施されます(中小企業は1年遅れ)。
①延長時間については、月45時間、年360時間(年変形は月42時間、年320時間)の限度時間以内としなければなりません。(1ヶ月・1年以外の限度時間は廃止)
②特別条項を締結する場合においても、上回ることのできない年間の時間外労働時間を1年720時間(月平均60時間)とすることになりました。
③この場合でも、さらに一時的に事務量が増加する時期に最低限、上回ることのできない上限を設けています。単月では100時間未満、2か月〜6ヶ月平均では80時間以内(ただし、この100時間、80時間は休日勤務を含む)です。この規制へのシンブルな対応策としては、「法定休日は必ず休む」かつ年間720時間の時間外労働時間の中において、臨時の場合(年6月まで)の「月の時間外労働時間は80時間以下にする」を完全に守るということをお勧めします。
④特別条項の締結に当たっては、健康管理措置・労働時間削減に向けたルールの整備が必要になり、指針で決められた健康確保措置の実施が求められます。
⑤特別条項の臨時の時間外勤務が必要になる場合の欄は、職種別に具体的な内容の記載が求められるようになります。
5 限度基準適用除外
従前の三六協定の限度基準適用除外が見直されました。
① 自動車の運転業務:施行5年後に上限規制適用
② 建設事業:施行5年後に上限規制適用(災害時の例外有)
③ 医師:施行5年後に上限規制適用(具体的規制については2年を目途に検討)
④ 砂糖製造業(鹿児島県・沖縄県):施行5年後に上限規制適用
⑤ 新技術・新商品等研究開発業務:時間外労働の上限適用無、ただし、医師の面接指導・代替休暇の付与等の健康確保措置有
6 月60時間超時間外割増5割が中小企業へも適用
これまで中小企業に猶予されてきた1ヶ月について60時間を越える時間外労働時間に対する50%の割増率の適用は、2023.4.1に撤廃されます。これにより中小企業によっては、時間外割増賃金のコストが上昇することが考えられます。
7 労働時間把握の義務付(改正労働安全衛生法)
原則、全ての労働者を対象として、ガイドラインに基づく労働時間の把握義務が課せられます。労働時間適正把握ガイドラインは、そもそも管理監督者には適用されていませんでしたが、この法改正により、管理監督者についても、労働時間把握が求められることになります。
8 高度プロフェッショナル制度
一定の要件を満たした高度専門人材(省令で定められる高度の専門性を有し、業務に従事した時間と成果との関連性が強くない業務)については、適用除外を認める特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル労働制)が設けられます。省令で定めた業務に該当し、1年間に支払われることが確実に見込まれる賃金の額(除賞与)が1,075万円以上の労働者が該当し、健康管理措置として健康管理時間の把握が求められ、医師による面接指導も定められています。
9 清算期間が3ヶ月に延長されるフレックスタイム制
フレックスタイム制については、両立支援(育児、介護、病気治療、通学など)の観点から、今回の改正では、清算期間の上限が3ヶ月に延長されます。なお、1ヶ月を超える清算期間を設定する場合には、労使協定を労働基準監督署に届け出なければなりません。
10 インターバル制度(努力義務)
努力義務ではありますが、勤務間インターバル制度ができました。
11 未払残業代の時効の課題
現在検討中ですが、2020.4.1の改正民法で消滅時効が5年間に統一されることから、賃金債権を5年に延長するという議論が行われています。
12 同一労働同一賃金
2020.4.1から大企業、2021.4.1から中小企業で施行されます。考え方としては、次の通りです。
○ 基本知識を押さえる
まず、最初に押さえておかなければならない事項は、現在担当している職務内容が同じであれば賃金も同じでなければならない、という意味での「同一労働同一賃金」を定めた法律は無いということです。
次に、押さえておかなければならない事項は、下記の2つになります。
①均等待遇:前提となる状況が同一であれば、同一の待遇にすること(パートタイム労働法第9条)
②均衡待遇:前提となる状況に相違があるのであれば、その相違に応じた待遇をすること(パートタイム労働法第8条、労働契約法第20条)
○裁判の判決から考える
正社員と非正社員との手当等の合理性が争われた「ハマキョウレックス事件」と「長澤運輸事件」の最高裁判決(H30.6.1)から見ていきたいと思います。
まず、2つの会社の労務環境の違いをまとめてみましょう。
項目 | ハマキョウレックス | 長澤運輸 |
企業規模 | 全国組織の大企業、正社員は転勤有 | 一企業一事業所の小企業、転勤無 |
争点の対象 | 正社員と非正規社員との間の処遇(主に手当)の不合理性 | 定年再雇用者の定年前と定年後の処遇(主に給与水準)の不合理性 |
(1)ハマキョウレックス事件
最高裁判決では、賃金総額ではなく個別の手当の合理性が判断されました。
手当 | 判断 | 理由 |
無事故手当 | 不合理・要支給 | 安全運転及び事故防止の必要性は変わらず |
作業手当 | 不合理・要支給 | 実施作業に対する金銭的評価は変わらず |
給食手当 | 不合理・要支給 | 勤務時間中に食事を取ることの必要性・程度は変わらず |
皆勤手当 | 不合理・要支給 | 人員確保のために皆勤を奨励する点は変わらず |
通勤手当 | 不合理・要支給 | 通勤に要する交通費は変わらず |
住宅手当 | 不合理ではない | 正社員は転居を伴う配転が予定されており住居に係要する費用が多額になるのに対し、契約社員は転居を予定される配転が無い |
つまり、簡単に言えば、各種手当の定義を明確にして、支給・不支給の区分についての合理的理由が求められるということです。ハマキョウレックスは全国規模の会社で転勤を伴うための住宅手当についての区分は「不合理ではない」とされましたが、転勤を伴わない企業の場合は、不合理性が認められる可能性があります。
(2)長澤運輸事件
長澤運輸の課題は定年再雇用なので、過去の自分と現在の自分との比較になるのが、ハマキョウレックス事件との大きな違いです。
これに関しては、『①定年制のもとにおける無期契約労働者の賃金体系は、長期間雇用を前提に定められているのに対し、定年再雇用については、長期雇用は通常予定されていないこと、②定年再雇用された労働者は、定年退職までの間、無期雇用労働者としての賃金を受けてきた者であり、一定の要件を満たせば老齢厚生年金の支給を受けることが予定されていることは、定年再雇用における賃金体系の在り方を検討するに当たって基礎になるものであり、有期労働者が定年退職後に再雇用された者であることは、労契法第20条にいう「その他の事情」として考慮すべきである』としています。つまり、定年後に賃金が下がることを実質認めています。
定年再雇用後の賃金水準に関しては、最高裁は何も示していませんが、昨年の人事院勧告で約7割という数字が示されていることから、これがこれからの目安になるかもしれません。
○企業の対応策は?
企業の対応としては、下記の事項が重要になると考えられます。
(1)就業規則を完全に分けること
採用、処遇等を完全に区別するため、非正規社員、嘱託社員、パート従業員を別規程として独立させて区分を明確にする必要があると考えられます。
(2)人事体系・賃金体系を明確にすること
職務の内容、職務の責任を完全に分け、異なる賃金体系として制度を構築して、身分の違いを明確にすることが必要になります。
(3)合理的区分を明確にすること
(1)と(2)の各区分を合理的に説明できるようにすることも必要です。
このように、働く方改革への対応は、大変です。しっかりと法令に基づいたコンプライアンス対策をしないと、会社を危うくしてしまいます。
個人番号(マイナンバー)制度
ナイナンバー制度の導入に伴う
〇就業規則の改正
〇特定個人情報取扱規程の作成
は、お任せください!
平成28年1月から個人番号(マイナンバー)制度が始まりました。特定個人情報の漏えいに関しては、極めて厳しい罰則が規定されています。
就業規則も、特定個人情報保護法へのしっかりした対応が必要になります。
個人番号(マイナンバー)制度の施行に対し、事業主が心に留めておく必要がある事項は、次のとおりです。
(1)マイナンバー制度は、大企業から個人事業主まですべての事業者が
対象になる制度である。
(2)法令対応の社内ルール作成、セキュリテイ対策は、必須である。
(3)刑罰は、最高4年の懲役と200万円の罰金の両罰である。
(4)従業員の教育を怠ると、代表者が懲役刑に処される可能性がある。
(5)外部通報、従業員からの内部通報を受け付ける組織(国家公安委員会
と同格)が作られ、ある日突然、強制立ち入り調査が入ることがある。
(6)マイナンバーの委託先企業は、委託元企業と同格のセキュリティ対策を
しなければならない。
(7)マイナンバー法は、善意であっても、法律が許可した場合以外で、他人に
対しマイナンバーの提供を求めたら罪に問われる可能性がある。
(8)「特定個人情報ファイル」を法の規定以外で作成しただけでも罪にな
る。
(10)退職者の「特定個人ファイル」を法定保存年限を超えて保持しても罰
せられる。
会社は、しっかりとした対処をしないと大変なことになります。
改正パートタイム労働法
「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律」(以下「改正パートタイム労働法」)が、2014年4月23日に公布され、2015年4月1日に施行されした。
1 改正のポイント
今回の改正のポイントは、次の3つに分けて整理することができます。
① 短時間労働者の均等・均衡待遇の確保(注)
②短時間労働者の納得性を高めるための措置
パートタイム労働者(以下「パート」)を雇い入れた際の速やかな説明義務など
③その他
是正勧告に従わない事業主名(社長名)の公表
(注)均等待遇と均衡待遇は厳密には異なりますが、ここでは分かりやすく「均等・均衡待遇」と表記します。
2 均等・均衡待遇の確保
均等・均衡待遇の確保とは、合理的な理由がないにもかかわらず、パートが「通常の労働者」よりも低い労働条件で働いている状況を是正するための措置です。均等・均衡待遇の内容はパートの就業実態によって変わりますが、中でも「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」(以下「正社員並みパート」)に該当するパートについては、賃金の決定をはじめ、教育訓練の実施や福利厚生施設の利用その他、全ての待遇について正社員と差別的な取り扱いをすることを禁止しています。改正パートタイム労働法では、正社員並みパートに該当する要件が3つから2つに減りました。正社員並みパートに該当するための要件は、次の通りです
改正前(2014年現在) | 2015年4月1日以降 |
職務の内容(業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度)が正社員と同 | そのまま |
人材活用の仕組み(職務の内容の変更及び配置の変更の範囲)が正社員と同じ | そのまま |
事業主と無期労働契約(「実質無期」を含む)を交わしている | 削除 |
改正パートタイム労働法では、正社員並みの要件から「事業主と無期労働契約(「実質無期」を含む)を交わしている」を削除しているため、職務の内容と人材活用の仕組みが同じであれば、有期労働契約を交わしている者であっても、正社員並みパートに該当することになりました。この点が、改正パートタイム労働法において、企業が最も留意しなければならないポイントであると言えます。
なお、前頁の表の「職務の内容(業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度)が正社員と同じ」の要件にだけ該当するパートを「職務内容同一短時間労働者」(以下「職務同一パート」)と呼びます。改正パートタイム労働法における均等・均衡待遇を考える際には、パートを3つのタイプに分けると整理しやすくなります。
○正社員並みパート
○職務同一パート
○その他のパート
改正パートタイム労働法における均等・均衡待遇の内容は次の通りです。
区分 | 正社員並みパート | 職務同一パート | その他の パート | |
賃金(注2) | ◎ | △ | △ | |
教育訓練 | 職務遂行に必要な能力を付与する教育訓練 | ◎ | ○ | △ |
上記以外の教育訓練 | ◎ | △ | △ | |
福利厚生 | 健康の保持や業務の円滑な遂行に資するもの | ◎ | ○ | ○ |
上記以外の福利厚生 | ◎ | − | − | |
上記以外 | ◎ | − | − |
(注1)記号の意味は次の通りです
◎:パート労働者であることを理由とした差別的取扱いの禁止
○:教育訓練の場合は該当する教育訓練の実施義務、福利厚生の場合は該当する
福利厚生施設の利用機会を与える配慮義務
△:職務の内容、職務の成果、意欲、能力または経験などを勘案して決定する努力義務
−:「均衡待遇」の範囲外だが、パートタイム労働法の基本理念に基づき、「均衡努力」を
確保することが望ましい。
(注2)「職務同一パート」「その他のパート」に対して、企業が「均衡待遇」を図る賃金の対象となるものや、具体的な取り扱いは、厚生労働省令その他通達等をご参照ください。
3 パートを雇い入れた際の速やかな説明義務など
改正前(現在)は、企業はパートの求めに応じて「均衡待遇」の確保などを行う上で考慮した事項を説明することになっています。これに加えて改正パートタイム労働法では、企業がパートを雇い入れた際に、速やかに、均等・均衡などについて講じている内容を説明することになりました。また、パートが説明を求めたことによって不利益な取り扱いをしてはならず、同時にパートが説明を受けやすい環境を整えることが求められます。
改正パートタイム労働法における企業が講じる措置の内容などの説明義務は次の通りです。
区分 | 改正前(2014年現在) | 2015年4月1日以降 |
雇入れ時 | なし | (新設):速やかに、均等・均衡(賃金制度、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用など、)や正社員への転換について、企業が講じている措置の内容を説明 |
雇入れ後 | パートの求めに応じて、均衡待遇や正社員への転換の措置について考慮した事項を説明 | そのまま |
この他、企業は「パートの雇用管理の改善に関する事項」(労働条件に関する文書の交付、均等・均衡待遇、正社員への転換など)に関して、雇用するパートからの相談に応じて、適切に対応する体制を整備することが求められます。
また、常時10人以上のパートを雇用する企業では、パートの雇用管理の改善などを行う「短時間雇用管理者」を選任することが努力義務となっています。短時間雇用管理者を選任している企業は、同管理者を中心にパートの相談に応じる体制を整えることになるでしょう。
その他、企業がパートを雇い入れた際に明示しなければならない労働条件に、新たに「パートの雇用管理の改善に関する事項にかかわる相談窓口」が追加されています。
4 是正勧告に従わない事業主名(企業名・社長名)の公表など
改正前(現在)は、厚生労働大臣(一部のケースを除き、実際は都道府県労働局。以下同様)は、雇用管理の改善などのために必要がある場合には、企業に報告を求めることや、助言、指導及び勧告をすることができます。
改正パートタイム労働法では、厚生労働大臣から報告を求められた際に報告しない場合や虚偽の報告をした場合の過料(20万円以下)が新設されました。
また、均等・均衡待遇の確保などに違反しているという勧告を受け、企業がそれに従わない場合は、事業主名(企業名・社長名)を公表することができる旨が定められました。
改正パートタイム労働法における勧告などは次の通りです。
改正前(2014年現在) | 2015年4月1日以降 |
パートの雇用管理の改善などのために必要がある場合は、企業に報告を求め、または助言、指導もしくは勧告をする | 厚生労働大臣から報告を求められた際、報告をしなかったり、虚偽の報告をした場合は20万円以下の過料に処される |
均等・均衡の確保、パートを雇い入れた際の速やかな説明義務などの違反により受けた勧告に従わないと場合は、事業主名(企業名・社長名)を公表することができる |
改正高齢者雇用安定法
平成25年4月1日から改正高齢者雇用安定法が施行されました。今回の改正の中で一番大きなものは、継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みが廃止されたことです。この改正により、就業規則の見直しをしなければならない企業が多数出てきました。
1 継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止
現在、どのような継続雇用制度が自社で導入されているかを確認する必要があります。次の3つの場合は、今回の改正で就業規則を見直す必要はありません。
①65歳以上の定年制を導入している。
②定年制を採用していない(年齢を理由とする退職が無い)。
③希望者全員を65歳まで継続して雇用する制度を導入している。
今回の法改正で、継続雇用制度を見直さなければならない会社は、労使協定によって社員を選別する基準を定めて、65歳まで継続して雇用する制度を導入している会社です。
この会社は、基準を廃止して希望者全員を65歳まで継続して雇用する制度とするか、平成37年までの経過措置に制度改正するかの2者選択を迫られています。平成37年までの経過措置とは、簡単に言えば、基準を廃止しないで就業規則に明記し、希望者全員を厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢までは継続して雇用する制度とすることです。
2 厚生年金の支給年齢
厚生年金は、65歳支給が決まってから20年にわたる経過措置で、順次、支給開始年齢が60歳から上がってきています。これから支給を受ける方は、定額部分は無で、報酬比例部分だけになりますが、その開始年齢は、生年月日ごとに男性の場合、次のとおりです。
昭和28年4月2日から昭和30年4月1日生・・・61歳
昭和30年4月2日から昭和32年4月1日生・・・62歳
昭和32年4月2日から昭和34年4月1日生・・・63歳
昭和34年4月2日から昭和36年4月1日生・・・64歳
昭和36年4月2日以降・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65歳
女性は、男性より5年遅れで受給開始年齢が上がっていきます。
3 報酬比例部分の受給と定年延長の関係
昭和28年4月2日生まれの男性は、平成26年4月1日で満61歳になります。
昭和30年4月2日生まれの男性は、平成29年4月1日で満62歳になります。
昭和32年4月2日生まれの男性は、平成32年4月1日で満63歳になります。
昭和34年4月2日生まれの男性は、平成35年4月1日で満64歳になります。
ところで、労働局などが示している経過措置の基準の適用は、次の表の通りです。
平成25年4月1日から平成28年3月31日まで | 61歳 |
平成28年4月1日から平成31年3月31日まで | 62歳 |
平成31年4月1日から平成34年3月31日まで | 63歳 |
平成34年4月1日から平成37年3月31日まで | 64歳 |
厚生年金の支給が生年月日であるのに対し、継続雇用基準が年度になっているため分かりにくいのですが、簡単に言えば、退職と無年金による無収入期間が絶対に出てこないように配慮したものと言えます。
つまり、老齢厚生年金の報酬比例部分が受給できた次の年度に、労使協定で取り決めていた継続雇用基準が適用されるということです。
4 対象者を雇用する企業の範囲の拡大
今回の改正で、定年を迎えた高齢者の継続雇用先を、自社だけでなく、グループ内の他の会社(子会社・関連会社)まで広げることをできるようにしました。
子会社とは、議決権の過半数を有しているなど支配力を及ぼしている企業のことを言い、関連会社とは、議決権を20%以上有しているなど影響力を及ぼしている企業です。
この場合は、継続雇用についての事業主間の契約が必要になります。
5 義務違反企業に対する公表規定の導入
この法改正措置を実施していない企業に対しては、労働局やハローワークが指導を実施することになります。指導後も改善が見られない企業に対しては、高年齢者雇用確保措置義務に関する勧告を行い、それでも法律違反が改善されない場合は、企業名の公表が行われます。
*お世話になっているお客様の主な業種
コンサルタント業、IT業、食品製造業、倉庫業、卸売業、
労働者派遣業、小売業、印刷業、出版業、建設業、飲食店経営業、
電気通信工事業、ビルメンテナンス業、独立行政法人、
公益(一般)財団法人、公益(一般)社団法人、教養教授業、
NPO法人、警備業、文化活動企画業、サービス業、その他業種
全国上下水道コンサルタント協会関東支部主催の講演会「上下水道コンサルタントが直面する労働災害−事故の防止・対応と企業責任−」の講師したところ、日本水道新聞が記事にしてくれましたので、紹介します。

松戸商工会議所会報“ブリッジ”2014.3月号の特集「東日本大震災から3年・いざという時の事業継続計画(BCP)」でインタビューを受けました。


平成24年11月6日に行った「職場におけるメンタルヘルスの取組方」という講演会が、日本水道新聞と日本下水道新聞に別添のとおり掲載されました。

労働新聞に掲載されました(平成22年3月1日)

千葉県の松戸市を中心に、柏市、流山市、我孫子市、野田市はもちろんのこと、東京都、埼玉県、茨城県その他の地域のご要望にお応えします。
「ふくろう」について・・・・・・・
○「知恵袋」で学問の神様です。
○「不苦労」と書き苦労知らずにたとえられます。
○長寿な鳥で長生きできると喜ばれます(「不老長寿」)。
○首が360度回ることから商売繁盛につながります。
○福籠では福が籠るとされ縁起のよい鳥とされています。
○目をパッチリ開いた時、世の中をしっかり見つめます。
○目を閉じている時、自分の夢を育てています。
そんな「ふくろう」を事務所の名前としていただきました。名前に恥じぬよう、お客様のお役にたつことのできる社会保険労務士(社労士)を目指します。
○主な業務対象地域
主な業務対象地域は以下のとおりです。
千葉県:松戸市、柏市、流山市、我孫子市、野田市、市川市、船橋市、
浦安市、鎌ヶ谷市、習志野市、千葉市
東京都:葛飾区、足立区、荒川区、台東区、江戸川区、墨田区、江東区、
千代田区、中央区、港区、北区、板橋区、豊島区、文京区、練馬区、
中野区、杉並区、新宿区、渋谷区、世田谷区、目黒区、品川区、
大田区
埼玉県:三郷市、八潮市、草加市、越谷市、川口市、さいたま市、蕨市、
戸田市、鳩ケ谷市
茨城県:取手市、守谷市、つくばみらい市、つくば市、土浦市、牛久市、常総市
*他の地域のお客様からのお問い合わせもお待ちしている社会保険労務士事務所です。